風車の墓場問題 撤去費用を計上しないで黒字に見せる収益のからくり

  日本中を埋め尽くすのかという勢いで増え続けている風車ですが、耐用年数は約20年と言われています。

 約20年経過すると、風車を撤去し更地に戻すか、建て替えをしなければなりません。

現在、国などの補助で建てられた陸上風力発電所が、約20年といわれる寿命を一斉に迎え始めているそうです。

 以上、東京新聞の記事にもありましたように、風力エネルギーの専門家でさえ、放置リスクに対して警鐘を鳴らしています。

「風車の墓場が出現する」ということから、後始末まで責任をもてないような再エネビジネスのいい加減な実態が浮かび上がってきます。

 

 経産省では「FIT 制度の調達価格には既に廃棄費用が含まれており、事業計画策定ガイドラインにおいても、 事業終了時の廃棄のために計画策定時に廃棄費用やその積立額を記載することを求めています」とのことですが、実際にはこの辺りはアバウトなものだったのではないかと推察されます。

 例えば「建設の赤字も回収し、近年市の財政に5000万円の売電収入を計上することができています」とか成功を謳う事業でさえ、それを撤去費用に積み立てることができていないのです。

 それでいて陸上にこそ力を入れるべきだというのは、完全にズレた発言に聞こえます。



 くさつ夢風車もまた、耐用年数を見越した撤去費用は計上せず、撤去する前年度末までに1億1千万円の黒字を見積もっていたと書かれています。

(全体撤去費は2億400万の見込みとされていましたが、ブレードだけ撤去し、タワーはオブジェとして残されたため9600万円だったとのこと。しかしそれもいつかは危険物として撤去しなければならない日が来ることでしょう)


 現在注目しているのが鳥取県北栄町の「北条砂丘風力発電所」の設備更新検討会です。

http://www.e-hokuei.net/secure/13445/1kai%20siryou.pdf

 こちらは1,500kWの風車9基の施設です。耐用年数は17年間だそうで、以降は経年劣化による大規模修繕のリスクがあり、町営事業継続か民間譲渡か廃止かに迫られています。

 報告によると、平成25年から29年まで毎年5000万円、平成30年には7000万円を一般会計に計上しているということですが、廃止の場合には「撤去費用の捻出が必要」と記載されており、高い売電収益を撤去費に積み立てることができていないことが窺えます。

(第1回 北条砂丘風力発電所設備更新検討会資料より転載) 

 撤去費用相場は1基5000万~1億円ということですから、9基になると4億5000万~9億といういことになります。

 どうなるのでしょうか。今後の行方を見守りたいと思います。


 

 このように耐用年数切れ及び落雷などによる故障で放置しているものも含めて、撤去責任を果たしていない姿が各地に散見する現状が、巨大風車に対する住民の信頼を損ねるものに繋がっています。


 撤去費用を計上しないことによって黒字化させ健全経営を謳う「収益のからくり」も、実に巧妙です。

 最終的には皆さんの税金が充てられることになるのです。

 

 事業者や出資者は利益がでます。

そして大きな赤字は市民(町民)全員で負担します。

それもおかしなことですね。


 住民としては、大切な環境を壊されて、「たかが20年のために」という憤りも感じています。

 その上負の遺産として残される可能性もあるというならば、ますます頑なになっても仕方のないことではないでしょうか。



 







「風力発電問題」~真実はどこにある?

風力発電への期待は大きく、希望に溢れて見えます。 脱原発、さらには地球温暖化防止への脱炭素(脱火発)を正当理由に掲げ、その動きは加速しています。 地球に優しいクリーンなイメージも固定化しています。 しかし、風力発電の現実は、そうとも言い切れない部分があります。 なぜこれほど多くの反対が起きているのでしょう。 風力発電を悪にはしたくないですが、問題から目をそむけていてはならないはずです。

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