再エネの知らない事実 風車素材のレアアースの開発競争が産出国の環境を破壊する
再生可能エネルギーは「温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギー」、「資源が枯渇することない持続可能なエネルギー」という言葉で語られます。
そして多くの人々が、その言葉を信じ、そのイメージを作り上げていることでしょう。
しかしその言葉は決して本当のことではありません。
推進する人たちが決して語ろうとしない、裏の面があるのです。
それを「再エネの不都合な真実」と語る人もいますし、「再エネの嘘」と語る人もいます。
再エネ=悪では決してないですが、けっして再エネ=救世主ではありません。
そのことを皆が知っておく必要があるでしょう。
「事業者が〇〇トンCO2を削減しました」と誇る裏側で、太陽光発電、風力発電、蓄電池や電気自動車の素材に必要なレアアースをめぐり、その産出国では開発競争が起こり、急速に大地は丸裸になっていっているという事実があります。
まず、レアアース自体が持続可能なものではありません。
レアアースはそれぞれの地殻中に含まれる総量は少なく、レアアース単体やその化合物鉱石としてとれることはなく、鉱物の中にごくわずかに含有されるだけなので、それゆえ「レア」なのです。
少量のレアアースを得るために、1000倍以上の廃棄物が発生していると言われています。
またレアアースの採掘・抽出には非常に手間とコストがかかります。発破(爆破)によりたくさんの温室効果ガスを出しますし、抽出には有害な化学物質を使用し、放射性物質が発生します。
それは間違いなく環境破壊です。
我々は計画地の山々が削られ、大規模に改変されることでさえ、エコとはかけ離れたものという思いがあります。
そしてなおさら自分たちの知らないところで行われている環境破壊について知った今、再生可能エネルギーって詐欺見たいなものじゃないか!と憤る気持ちも理解していただければと思います。
近年、それらに疑問を投げかける映画も立て続けに公開されています。
・マイケル・ムーアプロデュース、ジェフ・ギブス監督のドキュメンタリー映画『Planet of the Humans』。
(https://www.youtube.com/watch?v=Zk11vI-7czE)
・ヴェルナー・ブーテ監督のドキュメンタリー映画『グリーン・ライ-エコの嘘』。
(https://www.youtube.com/watch?v=NQX8JYefOJs)
ぜひ見ていただければと思います。
「温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギーって言ってたのに嘘じゃないか」
「資源が枯渇することない持続可能なエネルギーって言ってたのに嘘じゃないか」
それを今後は突き付けることもできます。
まず偏ったイメージから脱却し、裏側にあるものを知りましょう。
そしてグローバルなシステムに搾取される構造が見えてくると、巨大再エネ施設には大いに疑問を感じるはずです。
以下に世界銀行が低炭素社会への移行に必要となる資源が新たな環境問題を引き起こすリスクをまとめた報告書「The Growing Role of Minerals and Metals for a Low Carbon Future」を発表しているので、それについてまとめた記事とともに掲載しておきます。
このリスクはすでに起きています。
株式会社 ニューラル サステナビリティ研究所HPより抜粋
「The Growing Role of Minerals and Metals for a Low Carbon Future」
世界銀行は7月18日、低炭素社会への移行に必要となる資源が新たな環境問題を引き起こすリスクをまとめた報告書「The Growing Role of Minerals and Metals for a Low Carbon Future」を発表した。低炭素社会を目指す動きの一つに、太陽光発電、風力発電、蓄電池や電気自動車の活用があるが、これらのコアとなるバッテリーや電子部品には、リチウムやコバルトなどの金属やレアアース(希土類元素)が必要となる。今回の報告書は、これら資源開発が新たな環境問題を引き起こす危険性があるとの認識を高めるよう呼びかけた。
今回の報告書は、パリ協定で国際合意に至った2度目標などを視野に入れ、将来のエネルギー移行のシナリオを実施。その移行に必要となる天然資源の動向を分析した。分析対象となった物質は、アルミニウム、ボーキサイト、カドミウム、クロミウム、コバルト、銅、インジウム、鉄、鉛、リチウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、プラチナ、レアアース、シリコン、銀、チタニウム、亜鉛の計19。これらの物質が、今後、風力発電、太陽光発電、バッテリーの増加によりどのような影響を受けるかを提示した。
リチウムやコバルト等の金属やレアアースの多くは低所得国が原産地。これらの国では資源採掘業は経済成長の鍵と位置づけられており、再生可能エネルギーの需要が拡大するにつれ、急速に資源発掘・開発が進むと予測されている。しかし管理体制が適切でないと、現地の生態系、水質、地域社会に重大な影響を与え、持続可能な開発を実現することができなくなる。最近では、資源採掘大手も金属やレアアース等に注力してきており対応は急務。資源採掘企業や鉄鋼・金属メーカーに対し、環境破壊の防止を強く促した。
また、今回の分析からは、特定の原材料に依拠している再生可能エネルギー社会は、現在の化石燃料社会に比べ、より原料集約性が高く(Material Intensive)なる。どの原材料の需要が増えるかは、今後伸びていく風力発電、太陽光発電、バッテリーのタイプによって異なるが、今後、製品供給を安定化させるためにも、原材料供給の安定性や価格の動向を見据えながら製品技術タイプを検討していくことの重要性を訴えた。
こちらも参考になります。
「技術革新と地政学の急変 電気自動車、新たな資源・環境問題と中国の台頭」
ギヨーム・ピトロン(Guillaume Pitron)
ジャーナリスト (日本語訳:村上好古)
(一部抜粋)
ところで、レアメタルの採掘と精製の工程は、非常に環境汚染的なものだ。その実態は、この資源の大部分を産する中国を見ると一目瞭然だ。北京の北西に位置する内モンゴル自治区は希土類の採掘と精製で世界随一であるが、この地域の景観は、いくつもの露天掘り鉱山によって荒れ果てた姿となっている。この地域の西に位置する巨大な包頭鉱山の工場の近くには巨大な人造貯水池ウェイクァングダム[訳注5]があり、鉱石処理工場からの有害な排水が、ここに受け入れられたあと間欠的に黄河に溢(あふ)れ出している。
この貯水池に接する瓦と煉瓦(れんが)でできた集落ダラハイでは、退去を決めていない数千人の住民が周辺の精製工場からの有害排出物を息で吸い、飲み、食べている。リ・シンシアさん(54歳、女性)は、この地域は「癌の村」と呼ばれるようになったのだと、健康診断を受けたあとで我々に告白した。「私たちは、有毒な空気を吸っていることを知っています。寿命がそう長くないということもです」。1トンの希土類を精錬すると少なくとも200立方メートルの水が汚染される(10)。したがって一般に鉱山地域の農民や住民は深刻な水不足にさらされている。銅の世界一の産地であるチリでは水不足がひどく、鉱山事業者は、淡水化した海水を2026年までには50%使うよう求められているという(11)。ちなみに淡水化の工程は大量にエネルギーを消費する。レアメタルの採掘、精製による汚染の例はチリ、コンゴ民主共和国(RDC[英語表記ではDRC])、アメリカさらにはカザフスタンでも観察され、意外なパラドクスを生み出している。すなわち、クリーンさを誇る自動車を実用化するには、「汚い」金属の採掘が必要なのだ。しかも、そのことが目に触れたり、カメラにさらされることもほとんどない。
この資源は、産業的にリサイクルすることも代替物を見つけることも殆どできないが、情報がないことから、大部分の西欧社会はその素性を知らない。鉱山が遠く離れていることがその主要な理由だ。1990年代、厳格なエコロジー規制のせいで西欧の採掘業者や精製グループは希土類の生産活動を停止するか他に譲ることを余儀なくされた。自ずとしてこの嫌われ仕事を引き取る候補となった中国は、当時、産業発展に向け野心的な戦略に取り組んでいた。自国の環境システムの破壊を代償にすることも厭わなかったのだ(12)。「中国の国民は、希土類を全世界に供給するため自分たちの環境を犠牲にしたのです」と化学会社ソルベイ(Solvay[本社はベルギー])の中国支社で働く希土類の専門家ヴィヴィアン・ウー氏は認める。したがって、企業が喧伝するゼロエミッションの乗り物と、「クリーン」な車の評価とは、極めて慎重に行うことが求められる。確かに電気自動車は走行時に炭素を排出することはない。しかし、その環境負荷は、それが使われる時からさかのぼって、材料となる素材が採掘され、精製され製品に組み込まれるその場所に移転されているのだ。[映画]『メトロポリス』(Metropolis)のことが思い起こされる。フリッツ・ラングが1927年に同名の映画に描いたものだ。そこでは、甘やかされ怠惰なブルジョア階級の富を産み出すために、労働者階級の人間が有害な煙を吸っているのだ。
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